君が望む幸福を、俺に出来る精一杯あつめて届けてやりたい
Honeybee
放課後の教室は、どうしてこうも夕日が似合うのだろう.
窓から射し込む日が、そっと隣に座る彼の髪をゆらしてた.色素の薄い細い髪が金色に透ける.
嫌な事を後回しにする俺の悪い癖.日直だってことも分かってたし、こうなることも予想してた.
HRが終わってからずっと、彼は俺が日誌を書き終えるのを待っている.それはきっと親友≠フ特権でしょ?
「3時間目ってなんだっけ?」
「化学だよ.・・・英二寝てたじゃない.」
「そうだっけ?」「そうだよ、見てたもの.」
会話の中に自分を探す.彼の中に確かに存在する自分を覗く.
彼はくすくす笑ってた.背に受ける夕日のせいで華奢な身体が際立って見える.
「今日って何日だっけ?」「20日.」即答だった.嘘だ.俺だって覚えてた.
「不二の誕生日もうすぐじゃん.」思い出したように言ってみる.
嘘だ.本当はずっと前から考えてた.寒さが厳しくなるたびに.
出逢ってから2回目の彼の誕生日.昨年も今年もその日≠ヘやって来ないけれど.4年に1度なんて、随分稀有な日に生まれたものだ.
雪が降って、彼の誕生日がやって来て、そして時季に桜が咲いて・・・、昨年も今年も来年も同じ.
友達になって、親友になって、いつまで続けるつもり?
いつから特別になって、いつから本音が言えなくなって・・・.
なにを言っても気持ちが透かされてるような気分になった.
必死で友達らしい会話をさがしてるなんて、君は知らないんだろうね.
「誕生日プレゼント、なに欲しい?」
急に髪を撫でた俺を不思議そうに見上げる瞳は透き通った綺麗な蒼.
あんまり良く似合ってるから、初めて会ったとき思わず見入ってしまったのを覚えてる.
そんなふうに見つめないでよ.友達の顔してる自信がなくなる.
そうやって俺のこと信じていいの、なんて、言えれば格好いいのに.
「なんでも言ってよ.」大げさに笑ってみせた.いくらでも笑うから、君も笑ってくれたらいい.
しばらく考え込んでいた彼は、思いついたように顔を上げて真っ直ぐに俺を見た.
「じゃあ、英二の1番欲しいものがいいな.」
「へ?」愛らしい唇から飛び出した言葉は予想外なんてもんじゃない.
いつもの笑顔.困惑する俺を尻目に彼は立ち上がると、
「僕、先に行くね.あんまり遅くなるとどこかの部長さんに怒られるから.英二も早く終わらせなよ.」そう言って行ってしまった.
世界はまだ辛うじてオレンジ色.
太陽が空の端っこで頭だけを水面にだしてもがいていることだろう.
さすがに此処まではボールの音は響いてこない・・・.
守ってなんかやれない.
傷つけ方なんて知らない.
俺の1番欲しいものなどあげられるわけがない.
不二誕生日ネタ・・・
けして塚不二前提とかじゃないですよ?
後日談を考えてたりなかったり(どっちだよ)
07.02.23